かな書における墨の潤渇について

写真は「十五番歌合」の一部を

半紙に拡大臨書しスキャンしました。

もっと潤滑が出れば作品らしく見えたかも・・・

古筆を見たことがありますか?

古筆とは、かな書の古典で

鑑賞やお手本に使われる秀逸なもののこと。

本物は美術館などに行かないと

鑑賞することができないが

印刷したものならお手本として

世に出回っているので見てほしい。

(出来れば原本を見に行って下さいね。)

そこで一つ気づく事がある。

古筆には、「ニジんだところがない。」

書でありながら、カスれた渇筆はあっても

墨がたっぷり有っても、ニジんでないのです。

「どうしてニジませないのか」これは古筆の

元々の用途を考えると見えてきます。

和歌集など記録として残すもの

書状や公文書、手紙などが多く

一つひとつの文字が、ハッキリ

読める必要があったのです。

ニジんで文字がつぶれて読めないと

記録媒体としてダメだったわけです。

その名残なのか古筆の臨書に使用する和紙も

ニジまないものがほとんどです。

一方、現代のかな書の用途といえば

芸術的な表現が多いのではないでしょうか。

かな書でも中字や大字で表現される

展覧会芸術の場合には、ニジミを取り入れて

潤滑対比させたほうが表現の幅が広がり

作品の面白みが格段に上がると思います。

漢字用の紙を使ってみるのも面白いですね。

色んな紙を試してみるのも楽しそうです。

作品作りの場合は紙を選べるけれども

例えば、官製はがきはツルツルでニジミません。

それでも筆と墨で書くなら渇筆の部分を

意識して入れてみてください。

真っ黒の変化が無い線で書くなら

長持ちする油性インクで書けば良いのです。

緩急・硬軟・濃淡など変化のある線が

美しい文字を形作るのです。

潤がダメなら渇だけでも・・・

渇筆を意識して下さいね。

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コメント

  1. 橘実代 より:

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    墨色の潤渇の変化があると、コントラストはつきますが、なぜ美しい文字になるのでしょうか?
    どのような理屈によるのですか?