線質と用筆

美しいかな作品を書くために
一番大事なのは線質だと思います。

色んな技法を学んできましたが
何をおいても線質です。

理想とする線は 明るく強い線です。

右の線を見てください。
かすれが全く無い線です。

真黒い絵具を塗ったような線では
表情がなく平面的で暗く重たい作品に

なってしまうことが
容易に想像できると思います。

この線で全ての文字を書いてしまうと
画面全体が真っ黒です。

かといって左の線のように
完全に掠れてひょろひょろの線だと

画面全体が明るいけれども
とても弱々しい作品になってしまいます。

紙面を滑ったような浮いた線も
筆の動きを紙面に伝えることが
できずに残念です。

明るい作品にするには
渇筆(掠れた線)を多用するとよいようです。

しかし、左のような力のない掠れ方ではありません。

真ん中の線を見て下さい。

掠れているが穂先が通った左端の部分だけは
墨の色がよく出ています。

穂先が紙面に食い込むような強い部分と
掠れて明るくスピード感がある部分が同居しています。

この2つの良い点とコントラストがあることで
強く明るくスピード感があり 立体的な線に見えませんか。

この潤渇は作品全体にも応用できます。

通常、墨つぎして墨色の濃い部分から書き続けると
徐々に墨が無くなって、渇筆の度合いを増していきます。

墨つぎの配置を工夫したり、渇筆の部分を多くしたり
することで作品全体が明るく立体的になるのです。

大丈夫です。作品つくりをしていく中で
理想の線を書けるようになります。

上の例は、起筆逆筆を使った側筆です。

この他、返しや当たりを丁寧に行ない
筆の弾力を感じて書くことで 理想の線になるのです。

コツは、感じた筆の弾力を 途中でゆるめないことです。

筆を立て、反力を使ってリズミカルに書くことで
しっかりした渇筆になります。

専門用語が沢山出てきましたが
意味は難しいものではありません。

これからも当ブログで何度も出てくるので
おいおい説明していきます。

今回は理想の線質渇筆をイメージする
ようにしてくださいね。