古筆の分類2「関戸本古今集」

写真は古筆「高野切第一種」です。 高野切は現存する「古今和歌集」 の最も古い写本と呼ばれています。 このころ平仮名が出来上がったよう...

では、「直筆」で書かれた「高野切」の

第一種から第三種まで、それぞれに 同系統の古筆があることを紹介しました。

それら以外の古筆は「側筆」 という書き方を用いています。

写真の「の」の字は 古筆「関戸本古今集」のもので 「側筆」を用いています。 「高野切第一種」(直筆)とどこが違うでしょうか。 ...

で述べたように「側筆」は 筆の傾きの角度や方向を変えることで

多種多様な線を表現できます。 その代表に選んだのが

古筆「関戸本古今集」です。

写真に切り取った一部分だけでも

一列目は澄んだ線で始まり 最後の列は畳み込むような激しい線から

墨継ぎをして重厚な線でしめている。

また、右上部を見ると 一列目「よのなかに」は連綿

二列目「さらはゝる」は放ち書き 三列目「し」一文字のみ

と多彩な表現が見てとれる。

「直筆」系と「側筆」について かなの歴史から考えてみよう。

仮名の隆盛100年の最初に 端正な美しさの「高野切」(直筆)が完成した。

そこで、行の揺れ、字間の疎密 線の流暢・激しさなどの変化を

面白みととらえ求めるようになり 多種多様な表現に発展した。(側筆)

平安院政の後半に書かれた 「元永本古今集」にいたっては

「側筆」を通りこし「逆筆」と 表現できる用筆になっていく。

仮名を書くのは直筆で充分であるが 芸術的な面白みを求めるならば

側筆による多彩な表現を 探求するんじゃなかろうか。

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